己が魂
生に、すがりつけ。
両手に温もりを感じて目が覚めた。布団から出ている俺の両手を子供の手が包み込んでいる。何も考えずとも、神楽と新八だと分かってしまうのは自分でも微笑ましい事だと思う。
「…………ィ……ッ」
全身に感じる痛みに耐えながら上半身を起こし、二人が起きないようにそっと己の両手を子供達の手から引き抜いた。吉原での戦いの後、日輪や月詠達から傷が癒えるまで休んでいったらどうだと提案されたが、自分達が居る事で吉原の復旧作業に支障が出たらいけないからなどと理由をつけて万事屋まで帰ってきたはいいのだが、子供らは納得できていないらしく、銀ちゃん一番ケガしてるから休んでいけばいいのに、とか銀さんが一番ひどい状態なんですから遠慮せずに休んでいったらどうなんですか、とか色々文句を口にしていた。
だがそれも俺が寝室の万年床に入るとぴたりと止まり、今度は甲斐甲斐しく世話をするものへと変わった。
「じゃあご飯作ってくるんで、銀さんは大人しく寝てて下さい」
「起きてちゃダメアルよ!」
二人がそう言って襖を閉めてから、もうどれくらい時間が経ったのだろうか。少し開いた襖の隙間から光が差し込んでいるのを見る限り、もう朝なのだろう。俺の枕の側には、蓋がされた鍋にお椀とレンゲ。蓋を開けてみると、そこにはすっかり冷えきったお粥が入っていた。俺は蓋を鍋に立てかけ、お粥をお椀に少し移して食べ始めた。
ああ、生きている。俺の魂は、生きている。